いつだったかな、君言ってたよね。
良い大人ばかりだからこそ、うさんくさいと思われる。それこそが大人の持つ最大の特権なんだって。
でも僕はそうは思わなかったよ。
賢さと優しさの偽善仮面で勝負する大人の世界では、70の悪い気持ちと30の清い気持ちをもったものが勝つ。
それに僕、わかったんだ。
汚らしい本心を隠して善人の雰囲気を作り出すのに長けた大人がほんもののおとななんじゃないかって。そのぶん君は文句なしのパーフェクトだよね、誰がどう見たってそりゃもう完璧なくらいにさ。
まったくもって…大人になってからだね、僕ってば皮肉が利いてきた。
それに、子どものときに感じてた大人に対する不信感の具体的な理由がわかったのもね。
君が言うみたいに打算のないきれいな大人なんかいなかったよ
大人はね、みんなろくでもなくてずるいんだ
君と、今では僕だってね
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