子供の頃はヒーローになりたかった。時間が経ったらいろいろわかりますね。こんなしょうがない大人になりました。どうにも、ごちゃまぜなかんじで勝手に人生過ごしますわ。 とにかく回収されるまでが生涯です。骨の残る破棄物編集所へようこそ。
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(トオル)
先輩に気合を入れろと叱られて、オスと叫んだ。顧問がいいかお前ら、青春は一度きりだからなと怒鳴った。みんな笑っていたのに、自分はとても笑う気にはなれなかった。
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うちに帰ったら親戚の子、つまりいとこにあたる中学生のようたが来ていた。ようたは今日もやっぱりボウズだった。兄ちゃん!とよんだので、元気か?と笑ったら今日勝った試合をはしゃいで報告してくれた。ようたはやっぱりきょうもとても元気だった。
(月)
廊下を歩いていたら、おめでとう!と声をかけられたのに、相手の顔に微塵も見覚えがなかった。
学校に居る間はいつもそわそわした。となりの組の女の子が自分のところにきてほしいところがあるといったのでついていったら、好きですといれた。じぶんはとても戸惑ったけれど、あの子のことを想うと胸が苦しくなったのでごめんなさいといって部活に行った。ランニング中に転んだので、すこしだけ泣きそうになってしまった。
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(さつき)
生きるって何なのか?
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(優人)
みーんみーんみーん。
窓が湿っている気がした。
カルピスを一口すする少年の背は少しだけ曲がっていた。
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(月)
映画、かな?
人だかりをみやって、疑問にふんと鼻を鳴らしてみる。
意味なんかない。
学生が永遠に終わらなければいいのに。
あぁ、なんだか意味なんかない、人生。
*
物理室の存在意義を考えながら電車を降りた。
市電は今日もかわらず同じ時刻に僕を連れてきた。
今日も明日も、変わらず同じ時刻にここにくるんだろうか。
僕の人生も?
*
(正尚)
右手ではさみを握って、刃を包み込んでみる。
小さい頃はさみの刃は両刃のナイフだと思ってた。
人に刃を向けては渡さないのよ、と叱責されて刃を自分の身体に向けて握る。僕には刃を向けてもいいの?きけなかったふしぎ。
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(火)
幻聴よ、と母がいう。
うちにはね、犬はいても猫はいないのよ。うそだ、と僕は言えなかった。ダンボールにかこっていた生命をそっと家の外へと連れ出した。
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(はるか)
まつげが黒い人ばかりなのにね。白い頭のおじさんやおばさんがいるよ。茶色や金色のお姉さんやお兄さんがいるよ。どうして?
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(水)
課題宿題、出すのは学校の先生だった。
課題、宿題、大きくなったら自分で探すんだっておにいちゃんがいいったんだよ。いとこのまいこが笑ってそういった。
(麻衣子)
今日はドッジボールをしました。私は花田君がすきです。でも花田くんはおまえのことなんかきらい!といってボールを私によこしてくれました。わたしはそのボールを花田くんとは逆の方向へ転がしました。
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(木)
飼育小屋のうさぎが白くてふわふわです。ふわふわのたまごやきはおいしいですが、ふわふわのうさぎはおいしくないです。でもふわふわだからみんながうさぎをよしよしします。おいしくないけど、
みんなうさぎさんのことがだいすきです。
(さとる)
女に負けた。
あきらめるなよ、と父ちゃんがいった。
なかない立派なおとなになりなさいといった。父ちゃんが昨日はないてたので、立派じゃない大人?ってきいたらそうだなといってちょっぴりわらった。おれもあとでこっそりないてしまった。
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(金)
林檎をかじるのが好きみたいだから、ほらよと地面に林檎を転がしておいたら、姉ちゃんがこら!とどなってポカリと頭をぶった。ねえちゃんはネズミがきらいだから、おれにもいじわるなんだ。
(さとる)
よれよれの布キレを切り刻んだ真っ黒なようふくだったから、名札を止めていたあんぜんぴんで、穴をふさいだ。でも、ねえちゃん怒った。謝る代わりに、笛でぴろぴろ演奏したら、うるさいって、また怒られた。なんだよ、ねえちゃんが聞いてる音楽の真似しただけなのに。
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(土)
サッカークラブのコーチが、さよなら、といった。
どうしてですか?ときいたら、結婚するんだ、といった。
けっこんって?ときいたら、ぼくがあかちゃんを育てるんだよ、とにこにこした。俺はにこにこした顔ににこにこできなくて、のどがむずむずしたので、えへんといった。
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(あゆみ)
私はテレビを買った。
テレビとそれから冷蔵庫とパソコンとそれから大きなコンポを買った。
学校に近くなったから。VIA様のライブ映像をぎりぎりまで見ていられる。きのう佐山と渡り廊下ですれちがったとき、返事はいつ?ときかれた。なにもおもいだせなくて、なにが?ときいたら甲子園にいくんだって言ったから、おめでとうとだけいって、さよならした。その日は夜6時からのミュージックライトの予約を忘れていたので、少し急ぎ足で新居へ帰った。楽しみ。今日の夜こそ見るんだ。
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(土)
夜のゴミ捨てだから、そのときにむかしの要らなくなった本をいっしょにすててしまおうとおもった。美しい男の子たちの本だ。それらの表紙を重ねてビニールの紐でしあったら、VIA様のことを思い出したので、その日の夜はVIA様がわたしに投げてくれたギターのピッグを抱いて眠った。
(日)
弟が女の子を泣かせたから落ち込んでいるとさっそく母が電話を寄越した。
よくわからないよ、と私はこたえたけれど、それには満足できなかったらしいので、すてきなものを送っておくよ、とわたしはいっておいた。電話を切ってから、幼馴染からもらっていた甲子園の砂が入ったピンを包んであげることにした。早く元気になれ、と念じながら。
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友人のさつきがうちにきた。今度の部活発表会があるらしい。がんばってね、とわたしはいった。誕生日だからって、本を2冊もらった。外国の絵本と日本の絵本だった。迷ったけどね、と彼女は笑っていったので、わたしはありがとうとお礼をいった。
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